移動販売車の販売メニューも車種を選ぶときにも大切なポイントです。
もちろん自分の開業したい商品はこれだというイメージもありますよね、フードメニューの場合は出店場所や集客する顧客の年代など把握することが大切です。
そんななか、近年人気のメニューも移り変わっています。
ご紹介する商品は、キッチンカーで人気の販売メニューです。
以下は各種ドリンクと近年人気のフードメニュー、ケータリングメニューとなります。どれを販売するかはイベントの内容や来客の年代層に合わせて最適なメニューを選びましょう。
目次
1、喜ばれる料理をつくることが第一歩
キッチンカーのメニューのポイントとは
1番目にポイントは「メニュー」です。キッチンカーによる移動販売の最重要テーマと言っても過言ではありません。
仕入れ仕込みはもちろん、出店場所も1日の動きもメニュー次第。集客力を左右するのも、メニューです。
自分自身の意志で始めるキッチンカー販売ですから、自分が作りたいようにして作った商品を、自分が売りたいスタイルで売りたい。そう思う方も少なくないでしょう。
しかし、ちょいと待った。あらゆる商売は、お客様あってのもの。「お客様に喜ばれるサービス」という観点から考えるのが基本です。
安さをとるか、おいしさをとるか
通常の実店舗と対抗していく上でも、「できるだけ安く提供したい」というのが、キッチンカー販売者共通の思いでしょう。そこで、陥りがちになるのが「原価を抑える」という製作手法です。
商品の販売価格に占める材料費等の製作原価は、飲食業の場合、普通「30%前後」とされています。すなわち、1コインの500円商品で150円。大手のチェーン店などでは、これを大量仕入れや中間マージン抜きの現地調達などで製作原価について低減する工夫をしています。でも、零細個店のキッチンカーがそれを真似することはできません。
実店舗の中に、「超格安」をうたい文句にした店があります。これらの店の多くは、魚類でも野菜類でも廃棄寸前のものを材料として仕入れ、油をたっぷり使って調理することでそこそこの味に仕立てています。原価削減ばかりに目が行くと、落ち着く先はここです。
それよりも、いかにおいしいものを作るか。これを発想の原点にしましょう。
おいしいものはどう作る?
おいしいものを作ると一言で言っても、実際には「おいしいもの」は1つではありません。
自分がいくらおいしいと思っても、他の人はそうでないかもしれません。
そこで実行したいのが、お店の目玉となるメニューを決め、それを試作したら、複数の人に試食してもらうことです。
同じものを食べても、食べた人の反応は人それぞれです。極端な場合、「うまい」という人もいれば、「まずい」という人もいます。
開業前は、この点について繰り返しテスト&チェックすべきです。その中から、「本当においしいと思ってもらえそうな味」が出てくるはずです。
いずれにしても、「喜ばれる料理」を目指して、味に徹底してこだわる。
このメニュー製作こそ、開店への最初のステップです。
2、何度も食べたくなる「絶対単品」をつくる
キッチンカーによる移動販売が実店舗に決定的に劣る点があります。それは、お店の雰囲気で客をとりこむことが難しいということです。
例えば、街中の喫茶店。ウッディなインテリアのなか、外界とは一線を画した静けさがあり、BGMが静かに流れて来店客の心を慰めるといった場面があります。その雰囲気は、コーヒーの味以上に客の心をつかみ、リピーターを増やします。
残念ながら、キッチンカーではその真似はできません。路上で営業するキッチンカーにとって、勝負のポイントは雰囲気ではなく商品の質と個性。お店の看板となる「絶対単品」をつくる必要性がここにあります。
そこで、2番目の製作ポイントは、「絶対単品」をつくることです。
「絶対単品」をお店の顔にする
キッチンカーによる移動販売がもの珍しかったのは、過去の話。特に、都市部ではそこらじゅうでキッチンカーを見かけます。
それだけに、「お店の看板となる商品」を作り出すことは喫緊の課題なのです。その看板商品が「絶対単品」です。
それでは「絶対単品」をどう作るかということになりますが、これには「王道」はありません。例えば、カレーショップであれば、あちこちのカレーを食べ歩き、チェックし、それをもとにして自分なりの個性あるカレーを作り出していく。それしかありません。
ここで注意したいのは、「絶対単品」は、「変わった品、普通には見かけない品」ではないということです。
チキンカレーを例にとれば、町のカレー店のどこでも食べられるようなチキンカレーであってかまいません。ただひとつ、それが本当においしくて、絶対の自信をもってすすめられるか。決め手はここにあります。
「おいしそうな商品」ではなく「おいしい商品」を
昼時のビジネス街。キッチンカーのカレーショップが出店してスパイシーな匂いがあたりに撒き散らされれば、それだけである程度の集客は望めます。「ああ、おいしそうだな」というイメージが、人を引きつけるからです。
しかし、本当の勝負はここから。集まってきた人の中からどれだけリピーターを作れるかが、お店の営業の最重要ポイントです。そして、それを左右するのが、本当においしい「絶対単品」の存在です。
そんな「絶対単品」をつくるには、レシピを考え、それをもとに作り、自分たちで食べ、評価していく。これを繰り返すしかありません。大切なのは「こだわり」。徹底して、味にこだわることです。
1番目の製作ポイントと似ていますが、やはり2番目の製作ポイントも「味」なのです。
リピーターが多く集まる繁昌店のイメージが具体化するのは、そこからです。
3、「絶対単品」を軸にメニューを広げる
同業のキッチンカーはもちろん、実店舗にもあまり見られない「絶対単品」をメニューにかかげて営業開始。そのメニューが本当においしくて魅力的なものなら、集客は日一日と右肩上がりになっていくはずです。リピーターもどんどん増えていくでしょう。
しかしながら、飽きやすいのが現代の日本人。せっかくできた固定客を逃がさないためにも、一定の時期が来たら、メニューの拡大を図る必要が出てきます。そのとき、大切なことは、お店の看板である「絶対単品」を中心にすえ、それと関連づける形でメニューを増やしていくことです。
これが3番目の製作ポイントとなります。実例を上げてみましたので見ていきましょう。
「絶対単品」にプラスアルファする
1回の営業で提供するのはランチ1種のみ。それなのに、リピーターを飽きさせないのは、日替わり形式にすることによって実質のメニュー数はとても豊富だからです。
一度に多数のメニューを提供するのは、仕込みや調理の面での負担が大。それを避ける1人ショップならではの工夫でもあります。
増やすメニューはあくまでも絶対単品が軸
メニューの拡大にあたっては、「お店の看板メニューである絶対単品を軸にする」のが原則です。
全く違うジャンルのメニューを増やしてしまうと、準備にも調理にも時間がとられ、スムーズな運営ができないからです。また、「絶対単品」の味にひかれて来店するお客様を失望させない意味でも、筋の通ったメニュー展開にすべきです。
例えば、スープカレーが「絶対単品」だとしましょう。これにプラスするのは、やはりカレー味のものであるのが基本。同じカレーでもスープとは対照的な、ドライカレーなどが好適です。スープカレーの副菜となるタンドリーチキンといったメニューも考えられます。
実際のお店では、ハヤシライスが絶対単品。調理に使うじっくり炒めたタマネギの活用範囲を増やして、オニオングラタンスープをブラス。そんな例もあります。
むやみにメニューを増やす必要はありません。無理のない範囲で、原則を守りつつ、営業内容を豊かにしていきましょう。
4、移動販売にマッチした価格の決め方
これからキッチンカー販売を始めようとしている人にとって、価格設定をどうするかは、なかなか頭の痛い問題です。実店舗のレストランなどで働いた経験のある人ならともかく、飲食業が全くの未経験という人にとっては、どこから始めていいか迷うところでしょう。
飲食業では、「原価は販売価格の30%前後」と考えるのが一般的です。
ということは、1コイン500円の価格に対して150円。その150円の中に材料費はもちろん、車のガソリン代やプロパンガスの料金、出店料などの諸経費をうまくおさめるべく計算を重ねていくことになります。
以上は実店舗でも同じですが、キッチンカーの場合には、単なる原価計算だけではすまない問題があります。主な出店場所となる市街地に並ぶレストランやファーストフード店との競合を考えなくてはいけないからです。
この価格決めが製作の4番目のポイントとなります。
レストランより安く、ファーストフード店より高く
ランチ系メニューの場合には、「ファーストフードやコンビニの弁当より高くてかまわないが、実店舗の飲食店よりは安く」というのが、1つの目安とされています。
手作りでつくりたての味を提供できるキッチンカーは、料理の質という点ではファーストフードやコンビニ弁当よりも上。ただし、実店舗のレストランのようにきちんと整えられたテーブルで陶製の食器に盛られた料理を食べるという環境は難しいですから、その点を加味して価格を抑えるという発想です。
これに対し、軽食系メニューの場合は、もう少し自由度があります。喫茶店に入り、コーヒー1杯で長時間ねばるといったことが行われたのは、昔の話。いまの消費者は、もっと手軽にスタイリッシュにさっとすませられることを喜びます。
実店舗への価格面での対抗を必要以上に意識する必要はありません。
あえて言えば、一番のポイントは、適正価格を10円刻みで決めていくこと。特に、イベント販売が主の場合は、実店舗よりも同業他店の価格をチェックしておくことが集客力をつける上では大切です。
製作時に決めた価格は、完全に一定でなくてもいい
出店スタイルにもよりますが、同じ場所に毎日出店するのでないかぎり、キッチンカーでの販売価格は時と場合に応じて変えてかまいません。
例えば、イベント出店の場合、同じような内容のイベントでも、イベントによって出店料は違います。出店料がとびきり高いイベントに出店する際には、価格を1ランク上げてもよいのです。
その意味では、キッチンカー販売は、実店舗営業に比べてずっと自由です。出店料が低く抑えられたイベントであれば、価格を下げることもできます。また、価格自体を下げるのではなく、トッピングを増やすといった特別サービスも考えられます。
いずれにしても、キッチンカー販売は、出店する場所の環境によって変わります。人の多く集まる市街地であれば、地域のお店の販売価格を丹念にチェックするなどの事前調査が欠かせません。
5、調理の様子を見せる演出
大手のチェーン店の中に、入口のすぐ脇にガラス張りのスペースがあり、そこからうどんを打っている様子を見せる手打ちうどん店があります。
「手打ち」の看板を掲げた店は多くありますが、作業風景を見せることで「うちは本当の本物の手打ちですよ」とアピールしているのです。
これは、キッチンカー販売にとっても、参考になる演出です。
キッチンカーの魅力は何と言っても「手作りの、できたて」が味わえること。そのできたてにいたる様子を見せる演出は、まちがいなく好感度アップにつながり、この演出こそが製作ポイントの5番目となります。
調理の最終段階は、お客様の目の前で
狭いキッチンカーの中でできることは、限られています。仕込みからのすべての工程を車内で処理するなんて、もちろん無理。それだけに、いっそ拠点の調理場で一度仕上げてしまい、真空パックか何かにして現場で湯煎……そんなお手軽調理にしたいという誘惑に駆られることもありえます。
しかし、それではだめ。アメリカでテレビ・ディナーと呼ばれる冷凍食品のセットをチンするのと同じく、「できたて」の感動が全く薄まってしまうからです。
「できたて」を印象づけるには、やはり調理の最終段階だけはお客様に見てもらえるようにすることが大切です。
例えば、クレープの焼き台をお客様から見えやすい位置にセットし、こんがり焼き上がっていく様子が視線をキャッチするようにする。
鉄板焼きの具材がジュワッと音たてて加熱され、それを手際よく切りさばく作業を積極的に見せる。そんな演出が「おいしそう」という評価につながります。
調理しながらの会話で客づくり
キッチンカーの開口部を広くとり、そこで調理の最終段階を見せる演出は、もうひとつ、お客様とのコミュニケーション・チャンスを増やすことにもつながります。
鉄板の上で具材から湯気がぱっと立つのを見れば、「すごい熱さだね、鉄板は何度ぐらいあるの?」と尋ねるお客様もあるでしょう。その一言から会話がはずみ、お客様の気持ちがなごんで、より気分よく召し上がってもらえる。そんなちょっとしたふれあいが、リピーターづくりにもつながっていきます。
お客様の店内滞留時間が長い実店舗と違い、キッチンカーでの接客時間はほんのちょっとです。それだけに、キッチンカーでの調理は、小さなショー。そんな心づもり1つが、お客様との接点をつくり、毎日の営業を生き生きしたものにしていきます。
6、営業人数によって変わる売り方
キッチンカーの仕事は、現場での営業以外にもたくさんあります。
最大の仕事は、仕入れと仕込み。これは、開店前には完全に終わらせておかなければいけません。それなのに、実際には、開店後に仕入れや仕込みのし忘れに気づくことがあります。材料に欠けがあれば、すぐに仕入れに走らなくてはなりません。このとき、一人だけの営業形態であれば、店はしばし開店休業状態にせざるをえません。
また、売る商品によっては、肉をさばいたり、さばいた肉を串刺しにしたりといった煩雑な仕込みが必要になることがあります。ここでも、仕事にたずさわる人材が何人確保できるかは、重要な要素です。
何人のスタッフで営業するかは、日々の営業のスムーズ化だけでなく、何を売るかという基本の基本にもかかわってきます。
スタート前の最重要チェック事項であり、製作ポイントの6番目でかなり重要といっても過言ではありません。
スタンドアローン営業ではメニューの無理を避ける
実際のキッチンカー販売では、オーナー1人での営業という事例がたくさんあります。つまりは、仕入れ、仕込みから調理・接客までのすべてを1人でこなす。大変ですが、不可能でないのは現実が証明しています。
そんなスタンドアローン・スタイルの営業では、何よりも提供する商品の絞り込みが大切になります。
カレーショップであれば、通常のチキン・ビーフ・ポークカレーに加え、スープカレーも売りたい、タイ風のグリーンカレーも売りたい、横浜海軍スタイルのドライカレーも売りたいといった気持ちがどうしてもつきまといがちです。
しかし、これだけのメニューを1人でスムーズに扱うのは無理。どこかで破綻が生じます。
その点を事前にチェックし、営業スタイルを決めておくことが、製作のポイントでもありキッチンカー販売成功への第一歩となります。
複数スタッフでの営業では、特に徹底リハーサルを
本番で焦ってしまい、調理に失敗する。前もって考えていた手順では調理がスムーズにいかず、時間がかかる。
キッチンカー販売のスタート時には、そういったトラブルが起こりがちです。
お客様を無用に待たせる結果になると、そのお客様に迷惑がかかるだけでなく、お店の評判を落とすことにもつながりかねません。
そんなトラブルを防ぐためにも、販売スタートにあたっては、事前のリハーサルが大切になります。営業場面を想定し、接客、注文、調理、盛りつけ、精算などのオペレーションを何度も何度も繰り返し、身体にたたきこみます。
災害時の避難ではありませんが、これを怠ると、本番当日になって手順が予定どおりにいかず、パニックになることもありえます。
特に、複数のスタッフでの営業の場合には、1人1人がスムーズに連携できるよう、事前の徹底リハーサルが絶対に必要です。